口話教育が今の私たちにもたらしたものとは
5月1日(日)


視聴人数170人のめったにない貴重な対談である「口話教育×手話教育」の報告です✨

第1部ー口話に対する想いー
まず、MCである國富さんも含め、登壇者4人がどのような出自だったのかを述べました。 小間さんはインテの経験がなく、ろう学校育ちであった。 國富さんはそれと真逆かのように、ろう学校の経験がなく、インテ出身である。 渡具知さん、入谷さんはろう学校もインテもどちらも経験していた。 このように、全く異なる環境にいた4人が口話または口話教育を受けてアイデンティティの形成、他者とコミュニケーションなどができずに挫折した経験があるかを述べました。 小間さんはろう学校にいて、他の生徒とのコミュニケーションがなかなかうまく取れずに挫折したという経験があった。シムコム、手指日本語、日本手話など多様なコミュニケーション方法を持つ生徒たちが混在していました。 渡具知さんは小学生時期に親や先生、そして他の生徒との間で苦しみました。 親や先生は渡具知さんに声がきれい、問題なく喋れていると言ったが、他の友達からは音楽の時間で声が変、リズムがおかしいなどと指摘され、どちらを信じたらよいのか苦しんだ経験がありました。 入谷さんは挫折といえる経験はなかったが、その理由を述べてくれました。それは難聴学級での教えである、聴者に対して自分のことをいかにうまく説明できるか、困ったことやその問題をどう解決するべきか、どう行動するべきかを教わったそう。 國富さんは、親から涙ながらに「聞こえる子どもとして産んであげられなくてごめんね。」と言われ、親に対して失望したそう。それはただ一人の人間として見てほしかったからだそう。自分が苦しいことを打ち明けた時、親を泣かせてしまったことと理解されなかった苦悩が自分の中で衝突していたと述べていました。 その後、視聴者の質問に答えました!
第2部ー渡具知氏が実際に経験した事例について議論ー
事例:模擬授業の際に手話ではなく、口話でやりなさいと教授から言われたことについて 自分だったらその先生に対してどう答えるかを議論しました。 前者では客観的に見ると、「ろう者が一般学校で手話を用いて生徒に教える」ものでありました。果たしてそれができるのかどうかから議論が始まり、最終的に生徒の授業態度を見て、臨機応変な対応をしながら自らの授業を見直す必要があるのではないかと渡具知さんのまとめで終了しました。 後者では日本手話のみで生きてきた場合、相手の「仕方なさ」が社会問題を捉える余裕を自らに与えているのではないかという疑問を問いかけました。聞いた背景として、「口話」を使うと相対的にマジョリティから求められることが多くなります。SST(ソーシャルスキルトレーニング)、自己主張、さらには自分を省察することに必死だから社会問題として捉える余裕がなく、自分の内面的な問題として捉えました。
第3部ーこれからの展望ー
手話教育の定義はなにかを各々から述べてもらった後、手話・口話を身につけた自分はこれからどうしていきたいかを述べました。 小間さんは口話を使う機会を減らし、手話を使っていきたいとのこと。 渡具知さんは手話、口話をどちらも使える、つまりマジョリティとマイノリティを繋げる架け橋になりたいとのこと。 入谷さんはコミュニティ形成をしたいとのこと。 國富さんは時間が押していたのもあり、すべてを伝えきれなかったが、ろう学校は口話教育と手話教育の中間にあり、生徒に応じて対応できるような教員になりたいとのこと。

國富さん渡具知さん小間さん入谷さん、貴重な対談をありがとうございました!
登壇者
※当初ゲストをお招き予定でしたが、学生のみの対談となります

MC
國富 浩人 氏
学生スタッフ
香川大学

企画立案者
渡具知 和紀 氏
学生スタッフ
沖縄国際大学

ゲスト
小間拓海 氏
学生スタッフ
東北福祉大学

ゲスト
入谷那々花 氏
学生スタッフ
四天王寺大学